名古屋地方裁判所 昭和55年(わ)1707号 判決 1981年2月09日
裁判所書記官
浅野力
本店所在地
愛知県豊川市松久町一丁目一〇五番地
法人の名称
有限会社 まるや本店
代表者の住居
愛知県豊川市中野川町二丁目一二番地
代表者の氏名
山口壽市
本籍
愛知県豊橋市下地町一丁目二六番地
住居
同県豊川市中野川町二丁目一二番地
会社役員
山口壽市
大正一三年三月一五日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官水上進出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人山口壽市を懲役一年に、被告有限会社まるや本店を罰金八〇〇万円に処する。
被告人山口壽市に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告有限会社まるや本店は、愛知県豊川市松久町一丁目一〇五番地に本店を置き、結婚式場の経営、鮮魚仕出し業等を目的とする法人であり、被告人山口壽市は、同会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統轄しているものであるが、同会社の将来の不測の事態に備えて必要な財産を蓄積するため、被告会社の業務に関し、同会社の法人税を免れようと企て、
第一 昭和五一年一〇月一日から同五二年九月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額が五、二二〇万八、〇四五円で、これに対する法人税額が一、九八六万三、五〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上売上の一部を除外するなどの不正の行為により所得の一部を秘匿したうえ、同五二年一一月三〇日、愛知県豊橋市前田町一丁目九番地の四所在の所轄豊橋税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の同会社の所得金額が二、九〇〇万三、七三八円で、これに対する法人税額が一、〇五八万一、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額九二八万二、〇〇〇円の法人税を免れ
第二 同五二年一〇月一日から同五三年九月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額が六、二四四万二、八二六円で、これに対する法人税額が二、三九六万四、八〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正の行為により所得の一部を秘匿したうえ、同五三年一一月三〇日、前記税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の同会社の所得金額が二、七九〇万九、九七八円で、これに対する法人税額が一、〇一五万一、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一、三八一万三、二〇〇円の法人税を免れ
第三 同五三年一〇月一日から同五四年九月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額が六、七〇四万九、二六四円で、これに対する法人税額が二、五七五万五、一〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正の行為により所得の一部を秘匿したうえ、同五四年一一月三〇日、前記税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の同会社の所得金額が三、九四四万三、八七七円で、これに対する法人税額が一、四七一万二、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一、一〇四万二、四〇〇円の法人税を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一、被告人山口壽市の当公判廷における供述
一、被告人山口壽市の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官(昭和五五年二月一九日付、同月二〇日付、同月二一日付、同年九月二四日付)に対する質問てん末書
判示冒頭の事実につき
一、登記官作成の登記簿謄本
判示第一ないし第三の各事実につき
一、被告人山口壽市の大蔵事務官(昭和五五年五月二三日付、同年八月二二日付、同月二八日付、同年九月三日付、同月五日付)に対する質問てん末書
一、山口幾子及び山口敏夫の検察官に対する各供述調書
一、山口敏夫の大蔵事務官(昭和五五年二月一九日付)に対する質問てん末書
一、山口幾子の大蔵事務官に対する質問てん末書(三通)
一、山口昭二の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、大蔵事務官作成の昭和五五年七月二五日付(四通)、同年八月一五日付(請求番号甲59)、同年九月一日付(同番号甲56)、同月二六日付(三通)各査察官調査書及び同年九月二五日付証明書二通(同番号甲4、5)
判示第一及び第二の各事実につき
一、大蔵事務官作成の昭和五五年九月一日付(請求番号甲55)査察官調査書
判示第二及び第三の各事実につき
一、山口敏夫の大蔵事務官(昭和五五年二月二〇日付、同年五月二三日付)に対する質問てん末書
一、鈴木信雄の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書
一、大蔵事務官作成の昭和五五年八月八日付、同月一五日付(請求番号甲54)各査察官調査書
判示第一の事実につき
一、大蔵事務官作成の昭和五五年九月二五日付証明書二通(請求番号甲1、6)
判示第二の事実につき
一、大蔵事務官作成の昭和五五年九月二五日付証明書二通(請求番号甲2、7)
判示第三の事実につき
一、富山正秋(三通)及び小林吉次郎の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、安田浩子及び安田一夫作成の各上申書
一、大蔵事務官作成の昭和五五年九月二五日付証明書二通(請求番号甲3、8)
(法令の適用)
被告人山口壽市の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項、二項に、被告有限会社まるや本店の判示各所為はいずれも同法一六四条一項、一五九条一項、二項に該当するが、被告人山口の判示各罪につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告人山口及び被告会社の判示各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人山口につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、被告会社につき同法四八条二項により判示各罪所定の罰金を合算し、右刑期及び金額の範囲内で被告人山口を懲役一年に、被告会社を罰金八〇〇万円に処することとし、情状により同法二五条一項を適用して被告人山口に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 高野芳久)